平成31年度から、技術士の試験方法が改正されます。以前「試験制度が変わる」ということは聞いておりましたが、もう次回からなのですね。
月日が経つのは本当に早いものです。パッと見、難易度が上がるのでは?って思っています。
でも「感覚的に」なので、もう少しじっくり見て、これから化学部門を受験する方へアドバイスになればよいなと思います。
平成31年度 技術士試験の試験方法の改正について
平成12年の技術士法改正から十数年が経過し、産業構造や経済構造、社会ニーズ、国際的な環境が大きく変化し、それらに対応した技術士制度がどうあるべきか、その目指すべき方向性が改めて問われていることから、時代の変化に対応した高い専門性と倫理観を有する技術者の育成・確保のための技術士の資質の向上、技術士制度の活用の促進及び技術士資格の国際通用性の確保を目的として、平成27年2月より科学技術・学術審議会技術士分科会において、今後の技術士制度の在り方について審議が行なわれてきました。
その結果、平成28年12月に同分科会として報告書「今後の技術士制度の在り方」が取りまとめられました。同報告書では、第二次試験の試験科目(選択科目)の改正及び他の国家資格との相互活用の促進について具体的な改善施策が提言されるとともに、今後検討すべき事項がとりまとめられ、上記提言に対応するために関係する省令及び告示が改正され、平成31年度の技術士試験から実施されることとなりました。日本技術士会HPより抜粋
https://www.engineer.or.jp/c_topics/005/005698.html
無茶苦茶読みにくくて、わかりにくいですね。技術士の論文で書いたら、完全にアウトですね。
だって一読でわからないじゃないですか。一文が長い。
とにかく色々議論して改正することにしましたよってことですね。そして、その内容は試験制度を確認に反映していると・・・。
ということで、試験制度がどのように変わったか確認しておきます。
平成31年度 技術士試験の概要について
(表は日本技術士会HPより抜粋です。)
必須科目
択一式であった「技術部門」 全般にわたる 専門知識を問う問題で、20問出題のうち15問解答(1 時間30分)
これが・・・
「技術部門」全般にわたる 専門知識に加えて、
応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力の選択科目のメインの要求される事項が加えられ、
記述式なり、600字詰用紙3枚以内2時間
これはきついですねーー。
従来ですと、自分の専門科目以外の知識は択一問題のみで対応できていましたが、それが論文で求めれらるということです。
時間的には3枚を2時間でかけばよいことになるので、旧制度の選択科目IIよりは少し楽にはなります。
わたしは実際に書くトレーニングをして、1枚20分程度で書けるようになりました。(試験官が読みやすい字と思えるレベルで。)
最初は解答を模写するだけで、1枚40分以上かかってました。そして近頃は字を書かなくなっているので、学生の時よりも字が下手になっています。
色々な意味で「書けなく」なっているので、書くトレーニングは必要です。
考える時間を含めて、1枚20-25分で書き上げるのは必須スキルです。
概念を読むと、応用能力と問題解決能力及び課題遂行能力は、選択科目のそれと同じです。
出題内容に関しては、
現代社会が抱えている様々な問題について、「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から、多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
となっているので、化学部門の技術士が部門問わずに解決せねばならないような共通問題が出題されるということですね。(たぶん)
とはいえ、専門性が異なればある課題に対する解決のアプローチも異なるわけで、それは無理して別の専門分野の内容で勝負しなくてもよいのでしょう。
問題の配分は公表されてるんですかね?
従来の試験方式をイメージすると、たった3枚にこの内容を落とし込むのは大変難しい気がします。
解答がとても薄っぺらくなる。
というのも、見出しを設定していったら、実質記述する部分が相当目減りするからです。
では必須科目はどんな問題構成になるのか?
専門知識に1枚、応用能力に1枚、問題解決能力及び課題遂行能力に1枚の配分だと前述の通り、問題解決能力及び課題遂行能力の部分の解答が薄くなります。
ですから、専門知識に0.5枚(300字)、応用能力に1枚(600字)、問題解決能力及び課題遂行能力に1.5(900字)枚くらいのバランスでしょうか。
問題は大問3問以上は準備しないと思います。
なぜなら、試験事務局の立場になってみると、試験作成と採点の負荷は減らしたいはずですからね。
たぶん大問2問の選択式です。
小問は3問かな。
(1)が専門知識問題で、○○の原理を述べよのパターン。
キーワードの作り込みがポイントになりそうです。
(2)が応用能力を審査する問題で、業務遂行手順や業務上留意すべき点、 工夫を要する点等について説明できる能力を問われる。
(3)は問題で与えられる事項について課題の設定、課題抽出理由、具体的対策およびその成果とリスクを論じさせるのかな。
このような小問にするには、大問自体の作り込みがしっかりしていないと解答を書きにくいですね。
もし問題に制約条件があまりなく、解答の自由度が高い場合は、前提を自分の専門分野の話におけばよいので、なんとかいけると思います。
逆に解答する上で制約条件がつくと専門外の部分を論じるのが厳しくなりますね。
おそらく問題の公平性を守るためにどの専門科目の人でも、解決の切り口があるように問題になるとは思うのですがね。
配点に関して
配点は30点ですが、均等割付なのか傾斜配点なのかはわかりませんね。
もし均等だと(1)の専門知識の比重も10点とそれなりに大きいので、しっかりキーワード学習すべきです。
解答文字数の傾斜配点だとすると(1)は5点となり、キーワード学習は自分の専門科目に特化しておいて、ダメなら諦めるって方法がとれますね。
ここは適当です。
キーワード学習が重要
200-300字程度のキーワードを全専門科目で作る必要があるかもしれません。
応用能力や問題解決能力及び課題遂行能力の学習は基本的に選択科目IIとⅢで学習できるので、わざわざ必須科目のために実施する必要はないかなと思います。
選択科目IIとⅢ
旧選択科目IIは内容が同じで、解答用紙が1枚減り、時間も30分短縮ですね。(選択科目Ⅲがまったく同じですので、そういうことになります。)
専門知識を問う1枚ものが大問をいくつかの中から選択する方式で1問、応用能力が2枚もの1問と予想します。
旧選択科目Ⅲは、課題解決能力という言葉が問題解決能力と課題遂行能力という言葉に変わっていますね。
要求されていることは、受験申込書の「業務内容の詳細」の部分と同等でしょうから、本質的には従来の選択科目Ⅲと変わらないと思います。
ただし・・・。
3時間半通しで6枚の論文を書き上げるのがなんともきつい!!
4枚でもきつかったのに・・・。
時間配分は、
- はじめの1.5時間で「選択科目」 に関する専門 知識及び応用 能力 の3枚を書き上げる(見直し込み)
- 残り2時間で「選択科目」 に関する問題 解決能力及び 課題遂行能力に取り組む
- 最初の30分は問題を読み解いて論文骨子作成は腕の休憩
- 残り1.5時間で3枚書き上げ
でしょうか。
2019年度技術士二次試験合否決定基準の変更点についての考察
必須科目は択一式から記述式に変更となるわけですが、この科目は専門知識、応用能力、問題解決能力および課題遂行能力の各々の部分点基準があるわけではなく、一括判定となります。
専門知識60%以上、応用能力60%以上、問題解決能力および課題遂行能力60%以上のように、一つひとつが60%以上でかつ総合でも60%以上という基準よりは緩い条件ですね。
解答が過不足なく記述できる問題というのは、えてして得点率が高くなります。
ですから、そのプラスマージンを他のマイナス部分に補填できるのに実にありがたいのです。
とはいえ、どこかの問題で40%まで得点率が低下すると、さすがに他の部分で補填することは困難になります。
準備自体はすべての科目で合格基準に達するようにしておきましょう。
口頭試験の大幅変更
それはそうと、これを確認して驚きました。
口頭試験の内容が大幅に変更になりますね。 (※総合技術監理部門を除く技術部門)
各項目の名称はたしかに変更となっているのてすが、審査されることの本質自体は大きく変わらないと思うんですよね。
昨今の技術士像により近い言葉に置き換えられたという印象です。
ただし、いくつか追加で抑えておかねばならないポイントがありそうですね。
現時点では
・コミュニケーション
・リーダーシップ
・評価
・マネジメント
・継続研鑽
この辺を業務経歴表の記載内容とどのように絡めて回答するのがが審査対象と予想しています。
まとめ
新試験制度をみて思うままに、試験問題の構成と難易度を予想してみました。
必須科目は足切りもなくなりましたし、自分の土俵に持ち込める可能性が高いので、そこまで恐れなくてよいのではという見立てです。
しかし、キーワード学習はしっかりやっておいた方がよさそうです。
選択科目は体力と集中力を消費しそうなので、最終段階では体を使ったトレーニングが必要になりそうですね。